偏光板とは 偏光・円偏光の仕組み 偏光の原理・透過率と偏光度・ヨウ素系と染料系・位相差と波長板・吸収軸の確認方法
| 偏光とは、電場の振動方向が一定の規則性をもつ光(電磁波)です。直線偏光板は、普通光(振動方向が混在した光)から特定方向の振動成分だけを透過させ、直線偏光にします。この直線偏光に対して1/4λ板(位相差板)の遅延軸を45°に配置すると、円偏光になります。なお本ページでは、光の進行方向を見たとき、電場ベクトルが時計回りに回転するものを右回転円偏光、反時計回りを左回転円偏光と表記します。 |
偏光板(偏光フィルター)の原理と図解
| 【図の説明】 360°ランダムに振動する普通光が偏光板を通過するとき、図では偏光作用を分かりやすくスリット状に模式化していますが、一般的な吸収型偏光板の実際の構造は、延伸したフィルムの中で二色性色素が一方向に並んだものです。この色素が特定方向に振動する成分を吸収し、それと直交する成分を透過させます。ななめに振動する波は、透過軸に沿った成分だけが透過します。このため偏光板の透過率は、理想的な場合でも50%が上限となります。(教材用の偏光フィルムなどで透過率の高い製品は、偏光していない光も一部透過しています。) ※ご注意 偏光板は「のぞき見防止フィルター」とは別の製品です。上図のスリットは偏光作用を示す模式表現で、一般的な吸収型偏光板の実構造ではありません。偏光板には、のぞき見防止の効果はありません。 |
円偏光板(円偏光フィルター)
| 円偏光フィルムは、直線偏光フィルムに1/4位相差フィルム(1/4波長板とも言います)を貼り合せることにより性能を出しています。 直線偏光フィルムの吸収軸に対し、1/4位相差フィルムの遅延軸を45度に重ねて貼ると、右回転、135度(-45度)に重ねて貼ると、左回転の円偏光板になります。 右回転と左回転の円偏光板を、位相差フィルム側を内側にして重ねると、光を遮断できます。 |
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| 直線偏光板は2枚の吸収軸が直交したときだけ最も暗くなり、角度がずれると遮光が崩れます。これに対し円偏光は振動方向が一方向に固定されないため、右回りと左回りの円偏光板を位相差フィルム側どうしを内側にして重ねると、互いを回転させても遮光がほとんど変わりません。(実際には位相差フィルムの波長分散により、わずかな明るさや色の変化は残ります。)この性質により、円偏光式3Dでは観察者が頭を傾けても左右映像の分離が保たれます。 |
※ ご不明な点は なんでもお気軽にご相談下さい。→
偏光板(偏光フィルター)の用途と事例
✔ カメラ用偏光フィルター |
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| 偏光フィルターを取り付けると、その方向により反射光の光量をコントロールできます。このため、水辺などの撮影において反射光を抑えたり、窓ガラスの反射を抑える事ができます。また、空気などによる乱反射を抑え、空の色や濡れた葉など、肉眼より色コントラストを高められる為、デジタルカメラ用のカラーコントラストフィルターとしても使用されています。 (カメラ用偏光フィルターは内部のプリズム等との干渉を防ぐため、円偏光が使用されています。) |
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| ●参考URL : | https://www.kenko-tokina.co.jp/special/product_type/lensfilter/rec-filter07.html | ||||||
✔ スポーツ偏光サングラス |
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| スポーツ偏光サングラスの吸収軸は水平になっています。海や池などの水面の反射を抑えて水面下の魚の観察を可能にしたり、車の運転などで雨後の水たまりや対向車の太陽光反射を軽減、また雪面の反射を抑えることができるなど、車の運転のほか、釣り用、スキー用ゴーグル等、野外活動用サングラスとして使用されています。 | |||||||
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| ※水面で斜めに反射した光は、水面に平行な方向(水平方向)に振動する偏光成分が強くなります。左右とも吸収軸を水平にしているスポーツ偏光サングラスは、この反射光を吸収しますので、水面のぎらつきに妨げられずに水中の様子を見ることができます。 | |||||||
✔ 光量調整 |
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| 航空機の窓等に2枚の偏光板を設置し、内側の偏光板を回転させ入射する光の量を調整しています。 | |||||||
| ●参考URL : | https://www.youtube.com/watch?v=2hRibmDwe1A | ||||||
✔ LCD 液晶ディスプレー |
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| 液晶ディスプレイの表面と裏面に、特定の直線偏光のみを通す「偏光フィルター」が貼られています。液晶によって各画素ごとに旋光性や複屈折性をコントロールして、映像を表示しています。 | |||||||
| ●参考URL : | https://note.mu/cima_tommy/n/n7ecec2971e82 http://www.infonet.co.jp/ueyama/ip/hardware/lcd.html |
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✔ 光通信のチャネル増加と信頼性向上 |
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| 光ファイバー通信の光に偏光を加えることで、チャネルの増加や雑音除去等による信頼性向上に使用されています。 | |||||||
✔ 偏光歪検査 |
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| ■ 偏光歪検査 樹脂やガラスなどの、内部の歪の量を可視化する装置です。直線偏光板や円偏光板、各々2枚の間に、樹脂などの透明体をおき、下から光(面光源)を当てることにより、歪をその強度に応じて特有の色として見ることができます。偏光板を平行に置く平行ニコル法と各々直交させる直交ニコル法や、ガラスなど歪の少ない対象を観察できる鋭敏色法などがあります。 |
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| ●参考URL : | https://www.luceo.co.jp/product/?id=1504241374-772734 | ||||||
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✔ 立体3D映像 偏光式3Dメガネ |
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※ ご不明な点は なんでもお気軽にご相談下さい。→
知っておきたい技術知識
▶ 透過率・偏光度・消光比の読み方
① 単体透過率・平行透過率・直交透過率
| 偏光板のカタログには、通常3つの透過率が記載されています。 単体透過率(Ts)は、偏光板を1枚だけ置いて自然光を通したときの透過率です。自然光にはあらゆる方向に振動する成分が含まれているため、理想的な偏光板でも通せるのは約半分=50%が上限になります。実製品の単体透過率が40〜43%程度なのは性能不足ではなく、この物理的な上限に近い値だからです。 平行透過率(Tp)は、2枚の偏光板の吸収軸をそろえて重ねたときの透過率。直交透過率(Tc)は、2枚を90°直交させたときの透過率で、理想的には0%になります。実際にはわずかに光が漏れるため、この直交透過率が小さいほど「暗く締まる」高性能な偏光板ということになります。 |
単体・平行・直交透過率の例 (MSHC40S 分光特性) |
② 偏光度と消光比 ― 遮光性能をあらわす2つの指標
平行透過率と直交透過率から、偏光板の性能を数値化できます。
偏光度(P)は P = (Tp - Tc)÷(Tp + Tc)× 100 [%] で求めます(偏光フィルムの仕様では一般にこの式が使われます)。理想的な偏光板では100%となり、実用の高性能品はこれに近い値になります。偏光度は100%に近づくほど桁の違いが見えにくくなるため、消光比(Tp ÷ Tc)という比の形で表現されることもあります。「何対1」という形になるため、製品どうしの性能差を直感的に比較しやすい指標です。なお、偏光度は分野やメーカーによって計算式が異なる場合があります。他社製品と数値を比べるときは、計算式もあわせてご確認ください。
偏光度(P)は P = (Tp - Tc)÷(Tp + Tc)× 100 [%] で求めます(偏光フィルムの仕様では一般にこの式が使われます)。理想的な偏光板では100%となり、実用の高性能品はこれに近い値になります。偏光度は100%に近づくほど桁の違いが見えにくくなるため、消光比(Tp ÷ Tc)という比の形で表現されることもあります。「何対1」という形になるため、製品どうしの性能差を直感的に比較しやすい指標です。なお、偏光度は分野やメーカーによって計算式が異なる場合があります。他社製品と数値を比べるときは、計算式もあわせてご確認ください。
③ マリュスの法則 ― 角度と明るさの関係
すでに直線偏光になっている光が偏光板を通るとき、透過する強度はI = I0 × cos2θ(θ=偏光の振動方向と透過軸のなす角)で表されます。これをマリュスの法則といいます。θ=0°(平行)で最大、θ=90°(直交)で0、θ=45°でちょうど半分になります。2枚の偏光板を回して光量を連続的に調整できるのはこの法則によるもので、航空機の窓の調光や、顕微鏡・カメラの光量調整に応用されています。
④ 当社 直線偏光板の光学特性(代表値)
| 品番 | 単体透過率 | 直交透過率 | 厚さ | 主な特徴 |
| SHLP41N | 42% | 平均0.03% | 0.18mm | 広視野角・スーパーハイコントラスト。長尺ロールあり |
| KLP43 / KLP43S | 43±2% | 平均0.01%以下 | 0.19 / 0.21mm | 高消光率の廉価タイプ。KLP43Sは粘着剤付き |
| SZLP40N | 約42% | 0.5%以下 | 0.3mm | 厚手で扱いやすい。歪検査装置・画像処理ライン向き |
| MSHC40S | 40% | 平均0.06% | 0.22mm | 染料系・高耐熱。粘着剤付き。3Dプロジェクター対応 |
※ SZLP40Nの直交透過率は仕様上0.5%以下、参考測定値では0.02%です。
補足:透過率が高すぎる偏光板にご注意
教材用の偏光フィルムなどで、単体透過率が50%を大きく超えると表示された製品があります。これは偏光性能が優れているのではなく、偏光していない光も一部そのまま透過させているためです。偏光ひずみ検査や光学測定など、遮光性能が結果に直結する用途では、単体透過率だけでなく直交透過率(または偏光度)を必ず確認してください。
▶ 偏光板の材質と耐久性 ― ヨウ素系・染料系・反射型
① 偏光フィルムはどう作られているか
| 一般的な吸収型の偏光フィルムは、PVA(ポリビニルアルコール)フィルムを一方向に延伸し、そこに二色性色素を吸着・配向させて作られます。延伸によって分子が一方向に並び、色素もその向きにそろうため、特定方向に振動する光だけが吸収され、直交する方向の光が透過します。 この偏光層(偏光子)は薄く傷つきやすいため、両面を透明な保護フィルムで挟んで実用的な偏光板に仕上げます。保護フィルムには、透明性と光学等方性に優れたTAC(トリアセチルセルロース)が広く使われています。TACはやや吸湿性があるため、用途によってはアクリル・COP・PETなど吸水性の低い材料が用いられることもあります。材質は製品によって異なりますので、耐湿性や耐熱性が重要な場合は仕様書でご確認ください |
② ヨウ素系と染料系 ― 光学特性を取るか、耐久性を取るか
二色性色素に何を使うかで、偏光板の性格が大きく変わります。
| 種類 | 光学特性 | 耐熱・耐湿性 | 主な用途 |
| ヨウ素系 | 高透過率・高偏光度を両立 しやすい |
高温・高湿で変色や偏光度低下が 起きやすい |
一般的な光学用途・室内での観察 と検査 |
| 染料系 | 高い光学特性を出すのは やや難しい |
高温・高湿環境での耐久性に 優れる |
装置内の発熱部・高照度プロ ジェクター・車載 |
| 反射型 (ワイヤーグリッド) |
吸収せず反射で分離。 可視〜赤外を広くカバー |
吸収による発熱がなく耐熱性に 優れる |
偏光ビームスプリッタなど |
補足:高温下で使うときの選択肢
装置内部の発熱、直射日光、高照度プロジェクターの光路など、条件が厳しい場所では染料系のMSHC40S(単体透過率40%/直交透過率平均0.06%・粘着剤付き)が第一候補になります。さらに過酷な3Dプロジェクター用途では、高耐久偏光フィルムを光学ガラスでサンドし両面を精密研磨したMPJシリーズをご用意しています。ガラスサンド品は熱に耐えるだけでなく、研磨によって面のゆがみを抑えているため、投影像がにじまないという利点もあります。
③ 近赤外域で使う偏光板(吸収型)
可視光用の偏光板は、波長が長くなると偏光性能が落ちます。800〜1000nmの近赤外域で偏光を扱う場合は、この領域に合わせて設計された吸収型の近赤外線偏光フィルム MIR35シリーズをご使用ください。乱反射・迷光が発生せず、一般的な偏光フィルムと同様にカットや拭き取りができ、高温耐久性(105℃×500h)、湿熱耐久性(60℃×90%×1000h)、低温耐久性(-40℃×1000h)、ヒートショック(-40℃⇔85℃・200サイクル)といった厳しい試験条件にも対応します。
▶ 位相差(リタデーション)と波長板の使い分け
① 複屈折とリタデーション
延伸したフィルムなど、方向によって屈折率が異なる材料を複屈折材料といいます。屈折率が小さく光が速く進む方向を進相軸、屈折率が大きく遅れる方向を遅相軸と呼びます。この材料に直線偏光を通すと、直交する2つの成分の間に進み方の差=位相差(リタデーション R)が生じます。リタデーションは R = Δn × d(Δn=屈折率差、d=厚さ)で決まり、nm(ナノメートル)単位で表します。位相差フィルムの「125nm」「140nm」「570nm」といった数値は、このRの値です。
② リタデーションの値で役割が変わる
| 位相差 | はたらき | 主な用途・当社製品 |
| 1/4波長(λ/4) 125nm / 140nm |
直線偏光を円偏光に変える (逆に円偏光を直線偏光に戻す) |
円偏光板の作製、3Dメガネ、ディスプレイの反射防止 MGR125(123±5nm)/MCR140N(140±10nm) |
| 1/2波長(λ/2) | 直線偏光の振動方向を回転させる (軸に対する角度の2倍だけ回る) |
偏光方向の調整、光学実験 1/2波長板(受注生産品) |
| 1波長(λ) 約570nm |
わずかな位相差を色の変化として際立たせる (鋭敏色板) |
ガラスなど歪の少ない素材の偏光歪検査、偏光顕微鏡 MGR570(位相差565±6nm) |
補足:なぜ鋭敏色板は「約570nm」なのか
③ 波長分散 ― 「1/4波長」は特定の波長での話
位相差フィルムのリタデーションは波長によって少しずつ変化します。たとえばMGR570の代表値では、550nmを基準にしたとき450nmで約1.10倍、650nmで約0.96倍となります。つまり「1/4波長板」といっても、厳密に1/4になるのは設計波長付近だけで、青や赤の端では理想からずれます。白色光で円偏光板を使うと、直交させてもわずかに色づいて見えることがあるのはこのためです。3D映像システムではリタデーション125nm、光学機器や特注の円偏光フィルターでは140nmが使い分けられており、用途に合わせた選択が必要です。
補足:円偏光板を自作するときの角度
直線偏光板の吸収軸に対して、1/4波長板の軸を45°に重ねて貼ると円偏光板になります。45°と135°(-45°)では回転方向が逆になりますが、どちらが右回りになるかは基準にする軸(進相軸か遅相軸か)と光を見る向きで変わるため、実際に確認するか製品仕様でご確認ください。光学用の両面粘着シートを使えばお客様自身で作製できます。右回りと左回りの円偏光板を、位相差フィルム側どうしを内側にして重ねると光を遮断できます。
▶ 偏光板の吸収軸(光軸)の確認方法
① 手元にある偏光板の軸を調べる
偏光板には吸収軸(その方向に振動する光を吸収する軸)と、それに直交する透過軸があります。製品には軸の向きが表示されていますが、切り出したあとの端材などで分からなくなったときは、次の方法で確認できます。
◆ 2枚あるとき … 2枚を重ねて一方をゆっくり回します。最も暗くなったところで、互いの吸収軸が直交しています。最も明るいところでは互いの軸が平行です。
◆ 1枚しかないとき … 机や床など平らな面を、30〜40°の浅い角度から偏光板越しに見ながらゆっくり回します。面からの反射光が最も暗くなったとき、吸収軸がその面と平行になっています。水平な面で反射した光は水平方向に振動する成分が強いため、それを吸収する向き=吸収軸が水平のときに最も暗くなる、という理屈です。
◆ 2枚あるとき … 2枚を重ねて一方をゆっくり回します。最も暗くなったところで、互いの吸収軸が直交しています。最も明るいところでは互いの軸が平行です。
◆ 1枚しかないとき … 机や床など平らな面を、30〜40°の浅い角度から偏光板越しに見ながらゆっくり回します。面からの反射光が最も暗くなったとき、吸収軸がその面と平行になっています。水平な面で反射した光は水平方向に振動する成分が強いため、それを吸収する向き=吸収軸が水平のときに最も暗くなる、という理屈です。
② ブリュースター角 ― 反射光がもっともよく偏光する角度
ガラスや水面で反射した光は、面に平行な方向に振動する成分が多くなります。この偏りがもっとも強くなる(反射光が完全な直線偏光になる)入射角をブリュースター角といい、tanθB = n2 / n1 で求められます。空気中から水(屈折率約1.33)へ入るときは約53°、一般的なガラス(屈折率約1.5)では約56°です。偏光サングラスや撮影用PLフィルターが水面やウィンドウの反射に対してよく効くのは、実際の撮影・観察がこの角度の近くになることが多いためです。真正面(入射角0°)から見た反射にはほとんど効果がありません。
| ブリュースター角と反射光の偏光 | ブリュースター角と反射光の偏光 |
| 偏光サングラス 実際の効果 | |
③ 用途ごとの軸の合わせ方
ガラスや水面で反射した光は、面に平行な方向に振動する成分が多くなります。この偏りがもっとも強くなる(反射光が完全な直線偏光になる)入射角をブリュースター角といい、tanθB = n2 / n1 で求められます。空気中から水(屈折率約1.33)へ入るときは約53°、一般的なガラス(屈折率約1.5)では約56°です。偏光サングラスや撮影用PLフィルターが水面やウィンドウの反射に対してよく効くのは、実際の撮影・観察がこの角度の近くになることが多いためです。真正面(入射角0°)から見た反射にはほとんど効果がありません。
| 用途・観察法 | 軸の合わせ方 |
| 直交ニコル法 (樹脂の歪検査) |
光源側と観察側の偏光板の吸収軸を90°直交させ、その間に検体を置きます。歪みが色や明暗の変化として現れます。 |
| 平行ニコル法 | 2枚の吸収軸を平行にします。明視野で観察でき、直交ニコル法と補い合う見え方になります。 |
| 鋭敏色法 (ガラス等の歪検査) |
直交ニコルの観察側に鋭敏色板を加え、その遅相軸を偏光板の吸収軸に対して45°に重ねます。歪の少ない素材も色の変化として見えます。 |
| 偏光式3Dメガネ | 直線偏光式は左右の吸収軸を90°直交(一般に右目45°/左目-45°の「ハの字」)。円偏光式は左右で回転方向を逆にします。 |
| 偏光サングラス | 吸収軸を水平にします。水面や路面で反射した水平振動の光を吸収し、まぶしさを抑えて水中や路面の様子が見えるようになります。 |
▶ 偏光板 取り扱い上のご注意
① 保護層は使用前に剥がす
偏光フィルムの表裏には保護層(セパレーター)が付いています。そのままでは本来の光学性能が出ませんので、使用前に剥がしてください。
② 粘着剤付き品は基板を選ぶ
粘着剤付きの偏光板は、必ずガラスまたはキャストアクリルなど、偏光性能を阻害しない基板に貼ってご使用ください。押出(キャスト以外)のアクリル板や一般の樹脂板は、板そのものに複屈折(内部の歪み)があるため、偏光観察や歪検査では色ムラの原因になります。フィルム単体で宙に浮かせて使うと、たわみや反りで見え方が不安定になります。
③ 円偏光板には表裏がある
円偏光板は直線偏光板と1/4波長板の貼り合わせでできているため、表裏で働きが変わります。自然光から円偏光をつくる場合(光源側に置くとき)は直線偏光板側を光源に向けます。届いた円偏光を受ける場合(3Dメガネやディスプレーの反射防止など)は1/4波長板側を光源に向けます。用途によって逆になりますのでご注意ください。
④ カットはハサミ・カッターナイフで
樹脂製の偏光フィルムは一般的な刃物で切断できます。切断面から水分が入らないよう、高湿環境での長期使用では端部の処理をご検討ください。
⑤ 熱・湿気・溶剤を避ける
とくにヨウ素系偏光板は高温・高湿で変色や偏光度低下が起こります。有機溶剤やアルコールでの拭き取りは保護層を傷めますので避けてください。汚れは乾いた柔らかい布で軽く拭う程度にとどめます。
よくある質問(Q&A)
- 偏光板を2枚直交させても、完全に真っ黒にならないのはなぜですか?
- 実際の偏光板は直交透過率が0%にはならないためです。高性能品でもわずかに光が漏れ、当社のSHLP41Nで平均0.03%、KLP43で平均0.01%以下という値になります。また、正面から見たときが最も暗く、斜めから見ると2枚の軸の見かけの角度がずれて漏れが増えます。より暗く締めたい場合は直交透過率の小さい品番を選び、正面から観察してください。
- 「光軸」「吸収軸」「透過軸」は何が違いますか?
- 吸収軸は、その方向に振動する光を吸収する軸です。透過軸はそれに直交し、光を通す軸です。「光軸」はどちらを指すか製品や資料によって異なりますが、偏光板業界では吸収軸を基準とするのが一般的です。当社でも吸収軸を基準としています。取り違えると軸が90°ずれてしまうため、お問い合わせや特注のご依頼の際は、必ず吸収軸でご指定ください。
- 円偏光板に表裏はありますか?どちら向きに使えばよいですか?
- 表裏があります。円偏光板は直線偏光板と1/4波長板を貼り合わせた構造のため、向きで働きが変わります。自然光から円偏光をつくる場合(光源側に置くとき)は直線偏光板側を光源に向けます。届いた円偏光を受ける場合(3Dメガネやディスプレーの反射防止など)は1/4波長板側を光源に向けます。用途によって逆になりますのでご注意ください。
- 1/4波長板は125nmと140nmのどちらを選べばよいですか?
- 用途で分かれます。円偏光メガネなど3D映像用途にはリタデーション125nmのMGR125(123±5nm)が使われ、廉価でカットも容易です。医療用ディスプレーの反射防止や特注の円偏光フィルターなど光学機器用途には、140nmのMCR140N(140±10nm)が使われます。どちらが適するか判断がつかない場合は、使用波長と目的をお知らせください。
- 白色光で円偏光板を使うと、直交させてもわずかに色づいて見えるのはなぜですか?
- 位相差フィルムのリタデーションが波長によって変化するためです。「1/4波長」になるのは設計波長の付近だけで、青や赤の端では理想からずれます。当社MGR570の代表値では、550nmを基準にしたとき450nmで約1.10倍、650nmで約0.96倍です。この差が残留した光として色づいて見えます。単色光や狭い波長域で使えば、この影響は小さくなります。
- ひずみ検査で「直交ニコル法」と「鋭敏色法」はどう使い分けますか?
- 直交ニコル法は、2枚の偏光板の吸収軸を90°に配置し、その間に検体を置く最も基本的な方法です。応力の大きさや分布が明暗や干渉色として現れ、樹脂部品のひずみ検査に広く使われます。鋭敏色法は、直交ニコルに570nm前後の1波長板(鋭敏色板)を加える方法で、わずかな位相差が色の変化として際立ちます。ガラスのようにひずみが小さく、明暗差ではほとんど見えない試料の観察に向きます。













手前はプロジェクター用偏光板、奥は3Dメガネです。

