蛍光試薬と励起波長・蛍光波長・フィルターワークのガイドライン



ドクターバイオイメージング
目や肌に負担のかかるUV光源に代わり、可視光のLED照明装置が普及してきましたが、
試薬を励起させる光源を選び、蛍光を分離してコントラストの高い画像を得るために、
下記をご参考に、より適切な光源、フィルターをお選びください。


蛍光画像を左右する、主な要素 LED蛍光励起 電気泳動ゲル画像 Green

1 使用する試薬の吸収励起波長と蛍光波長
2 照射するLED光源の波長特性
3 蛍光を分離するシャープカット(ショートカット)フィルターの分光特性
4 蛍光と励起波長が近い場合、光源のすそ野のカットするフィルターの有無と性能

UV光源の蛍光管映り込み
LED光源のバックグラウンド
← UV Transilluminatorで蛍光管の映り込むときは、こちらをご参照下さい。
← LED光源のバックグラウンドでバンドが見えにくいときは、こちらをご参照下さい。
 ★お問い合わせの多い蛍光試薬とLED光源、フィルターワークの波長特性図付きガイド→   

 ■ もっとも一般的な、エチブロ(Ethidium Bromide)を例に説明しましょう

1. 励起波長と蛍光波長

右の表は、エチブロを蛍光させる為の励起波長(点線・Excitment Wv.)と、それによる蛍光波長(実線・Emission Wv.)の分光特性です。
励起のピーク波長は300nmの紫外線ですが、可視光の518nm 前後の可視光でも、光源が充分強力ならば、蛍光させることが可能です。

励起蛍光波長 分光特性と解説 Ethidium bromide エチブロ


2. UV(紫外線) トランスイルミネーターによる蛍光励起

UVとエチブロ Spectrum 励起蛍光波長 分光特性


従来、エチブロの励起には、254nm、 312nm、365nm等のUVトランスイルミネーターが使用されてきました。
短波長のUV程エネルギーが高く、蛍光波長との差が大きい為、バンドが明瞭に確認しやすいという利点が有りるものの、検体の劣化も急激で、人体への影響も見過ごせません。

*SC60は、光源の余分なバックグラウンドを除去し、蛍光波長のみを透過させる、ショートカットフィルターです。

3. 可視光LED照明による蛍光励起

前述の通り、515nm前後の波長を持つ青色470nm、青緑(シアン)505nm、緑色530nm等のLEDで励起が可能です。
但し、青色LEDでは吸収が非常に弱く、また緑色LEDは、蛍光波長に近い為、分離確認が困難になります。
右図で示した、光源とフィルターの交差した下側がバックグラウンド光として透過します。実際の蛍光は光源に比べ僅かですので、この影響が非常に強くなります。

LEDの選択と蛍光試薬 励起蛍光波長 分光特性 バックグラウンド


4. バックグラウンドを除去する、多層膜・ダイクロイックフィルター

LED 励起蛍光波長 分光特性 ダイクロイックフィルタ

525nm以上を急激にカットするダイクロイックフィルターLC525で、バックグラウンドをほとんど排除し鮮明なバンドを確認することができます。

青緑LED(シアン505nm)を使用した時も、蛍光をなるべく多く透過させる為、SC-56など短波長側でカットとすると、やはりバックグラウンドは無視できず、弱い蛍光は確認しづらくなります。
LED光源の長波長側のすそ野を急角度で遮断する、ロングカット・ダイクロイックフィルターの使用により、この問題を解決することができます。

*当社の青緑色LEDトランスイルミネーターは、高性能複合ダイクロイックフィルターLC525を採用しています。

<LED505-TR60W>


バックグラウンドを完全除去、Dichroic Filterの劇的効果

不使用時    使用時
 
 


★お問い合わせの多い蛍光試薬とLED光源、フィルターワークの波長特性図付きガイド→



解説はあくまでもガイドラインです。 光源度照度や染色の程度、フィルターの性能、カメラの特性等により、結果は必ずしも一定ではありません。実際につきましてはデモ機にてご確認いただけますようお願いします。



■ UVトランス・イルミネーターで、蛍光管がバックグラウンドになる原因と対処法

・原因
デジタルカメラで撮影すると、縞状にバックグラウンドが写って画像のコントラストが悪くなることが有ります。これは、トランス・イルミネーターに使用されている蛍光管から漏れ出る近赤外光と、カメラに使用されているIRカットフィルターの性能が要因です。一般的なUVトランス・イルミネーターに使用されているUV透過フィルターは、可視光のほとんどはカットしますが、赤から近赤外は透過します。 旧来の高感度白黒フィルムやポラロイド・フィルムは、630nm以上に感度が無いため、蛍光管の映り込みは生じませでしたが、デジタルカメラの素子は、1200nmの近赤外光まで感度を持っています。ふつう撮像素子の前にIRカットフィルターが置かれていますが、デジタルカメラの機種により、その性能はまちまちです。

・対処法@ 650nm以上の近赤外をカットするIRカットフィルタをカメラに使用する。
当社では、明室ゲル撮影装置用、「MFC65-52」(多層膜・ダイクロイック・フィルター)を用意しています。
UV トランス・イルミネーター 蛍光管の写りこみをカット       

・対処法A 赤外光を出さないフィルターを装備した、トランス・イルミネーターを使用する。
当社のUVトランス・イルミネーター「MBP-UV312」には、赤外線のほとんどをカットする、ハイブリッド・フィルターが使用されています。
蛍光管の写りこみの無い、UV Transilluminatorトランス・イルミネーター          






■ LED照明で、バックグラウンドが強く、バンドが見えにくい場合の原因と対処法
・原因
LED光源は、元々波長の幅が狭く励起光源に適していますが、ピーク波長前後にもある程度のすそ野が有ります。 一般的に試薬の蛍光エネルギーは弱い為、このすそ野がバックグラウンドとなり、しばしば蛍光そのものを見えなくする場合もあります。(下図の蛍光波長特性は、最大値を100%といますが、光源と相対値では、かなり低い値でする。)

蛍光試薬とLED励起照明光源の選択方法


エチブロを例として
この図の示す通り、緑色LED(530nm)では、SC56では波長の重なり(=バックグラウンド)が大きく、SC60でも波長の重なりで、ある程度強いのバックグラウンドとなります。
青緑LED(505nm)の場合でも、SC56ではすそ野をカットしきれません。
青色LED(470nm)の場合は、励起するパワーが非効率で、かなり強力な光源でない限り、十分な蛍光を得ることが出来ません。
・対処法@ 光源長波長側をカットする、ダイクロイックフィルターを使用する。
・対処法A 充分強力な光源装置を使用し、SC60などある程度蛍光の短波長側を 犠牲にする代わり、長時間露光で画像を得る
      ↓    ↓
LED Transilluminator LED470/505-TR60W は、60Wクラスの超強力光源装置であり、さらに複合ダイクロイックフィルターLC525の使用でバックグラウンドをほとんど排除し、鮮明なバンドを確認することができます。
  LED 励起蛍光波長 分光特性 ダイクロイックフィルタ
 

<LED505/470-TR60W>
 
バックグラウンドを完全除去、Dichroic Filterの劇的効果

不使用時     使用時